ネタバレ注意です!
あらすじ
7歳の時、母親を亡くし、エルンスト公爵家の養子となった、ハリ。 しかし、公爵家の3兄弟から認めてもらえず、地獄のような日々を送ることとなった。 27歳で縁談が決まり、屋敷を出て行くことに。 ようやくこの地獄のような日々ともお別れかと思いきや、寝て起きてみると、 あの辛い幼少期に時が巻き戻っていた! 「これは夢? フン、そう簡単に覚めない夢なんだったら、今度こそ好き勝手にやらせてもらうわ!」(※ピッコマより抜粋)
登場人物
ハリ | 主人公。本当は27歳だけど、起きたら7歳に戻っていた |
ユージン | エルンスト家長男。冷静で、物事に動じない |
キャメル | エルンスト家次男。剣の天才で、やんちゃな性格 |
エーリッヒ | エルンスト家三男。ハリの事を特に敵視している |
アリナ | ユージン達の実の妹。病気で亡くなった |
ヨハネス・バスティーエ | ハリの未来の旦那様。とても優しい性格 |
ルイーゼ・バスティーエ | ヨハネスの妹。ハリとヨハネスが大好きで、キャメルが苦手 |
40話ネタバレ
前回は、エルンスト家に戻るなり、皆で食事にするところで終わりましたね。
ハリは食事の準備でメイドに着替えを手伝ってもらいます。
メイドが口を滑らせたかのように「公爵様は前ほど怖くなくなりました」と言います。
夕食時は必ず一緒に食べてくれるユージン。
ユージンはいつも朝早く家を出て行き、そして夜遅くに帰ってきます。
だからあまり会えない、とハリはぼやきました。
「あの方は本当にあなたを気にかけているように見えますよ」
メイドの言葉に「だよね」、と照れ笑いを浮かべるハリ。
だから昼は一人で食べてもいいかな、とハリは思えるようになったのでした。
―――
――
―
コンコン
ユージンはハリの部屋をノックすると、声を掛けました。
「ハリ、ちょっといいかな?」
ハリは特に周囲を気にすることなく「どうしたの?」と立ち上がります。
すると、隣でお茶を淹れていたメイドが誤ってハリの手にお茶を掛けてしまいました。
「も、申し訳ございません!」
「大丈夫か!?」
ユージンは慌てて駆け寄ると、ハリの手を取ります。
「大丈夫だよ、熱くなかったから」
ユージンを落ち着かせるようにハリは言います。
「どうしてこんなミスを?」
メイドを厳しく睨め付けると、メイドは平謝りをします。
それに対し、ユージンは静かに怒りの言葉をぶつけます。
「私なら大丈夫だよ、兄さん。軽い火傷だから」
不穏な空気を感じたハリはメイドを庇うように、ユージンと連れて部屋を後にしました。
―――
――
―
「痛くないか?」
火傷で赤くなった手を心配しながら手当をするユージン。
「痛くないよ。意外と心配性なんだね」
「大丈夫じゃないのに、ハリが『大丈夫』って言うからだ」
クスリと笑うハリに、少しムッとした様子で答えます。
「そんな事ないよ。本当に大丈夫なんだよ」
「そんな事言ってる場合じゃないだろう」
呆れた様子で塗り薬を塗りながらユージンは答えます。
ふと、ハリは思い出したように「招待状は濡れていないかな」と言葉を漏らしました。
「招待状?」とユージンは尋ねます。
「エルンスト家に戻ってきたっていう話が広まっているみたいで、色々なところから手紙が届いているの。その中には招待状もあったけど、受け取るべきかな?」
ユージンは口をきゅっと結ぶと、
「好きなようにやるといい。行きたい所があれば行けばいいし、やりたい事があれば何をしてもいいんだ。欲しいものがあれば、全てを手に入れることだってできる」
ハリの目を真っすぐに見つめて言いました。
「何をしてもいいって言うけど、もし私が無理な要求をしたらどうするんですか?」
「今は無理でも、何とかして与えるよ」
ハリに自由を与えるユージン。
ハリの希望を叶えようとするユージン。
ハリはユージンの頬に手を添えると、
「兄さん、幸せになってね」
と言いました。
「皆が幸せになることが僕にとっての幸せだ」
「兄さんが幸せじゃないと、私達も幸せになれないよ」
「…」
黙るユージンを、ハリは優しく抱き締めます。
「ど、どうした・・・?」
耳まで真っ赤にし、戸惑うユージン。
「じっとしてられないの?」
「離れてくれたら助かるんだけど…」
「嫌いなの?」
「嫌いなわけじゃないけど…」
以前から、一度はユージンを抱きしめたいと思っていたハリ。
ずっと、この大きな屋敷で一人で目を覚まし、誰も居ない屋敷に一人で帰ってこないといけなかった。
誰にも頼れず、誰かに慰めてもらう事もできなかった。
だからこそ、ユージンの負担になるような人ではなく、頼ってもらえるような…そんな人間になりたいと、ハリは願います。
「もう少し、自分のために生きようよ」
「言いたいことは分かるよ。ただ、そんな慰めが必要なほど弱くも子供でも無い」
頑固!とハリは心の中で叫びます。
そこへ、ユージンの従者が気まずそうに声を掛けます。
「あのー…。兄妹の絆を深めているところ、割入って申し訳ございません。そろそろお時間です」
2人はハッとすると慌てて離れます。
そしてハリはドアを閉めなかった事を後悔します。
簡単に従者は挨拶をすると、紹介したい人が居るから来たと用件を述べました。
彼の名前はエダン(エダ?)。今日からハリの護衛につくそうです。
年の頃はユージンと同じくらいで、黒髪の少し気の弱そうなイケメンです。
「初めまして。これからよろしくお願いします」
「お役に立てることを光栄に思います」
彼は軽く一礼をして淡々とした様子で言いました。
「外出する時は、特に彼に付いてもらうんだぞ」
「もう出発するの?」
「やり残した事がある」
「またお会いしましょう」、と従者はがっかりしたように言って部屋を出ました。
「今日は外出しないので、ゆっくり休んでください」
「はい」
エダンは了承すると部屋を後にします。
ハリは窓辺からユージン達が外に向かって歩く姿を確認すると、ハリもまた部屋を出ました。
部屋を出ると、そこにはエダンが佇んでいたのでぎょっとした様子で尋ねます。
「ずっとここで立ってたんですか?」
「私の任務ですから、気にしないでください」
気にするよ…と心の中で呟くハリ。
ハリが廊下を歩き始めると、その後ろをぴったりと歩調を合わせてエダンも後を歩きます。
どうにも気になるハリは足を止めると、たまらず振り返って言いました。
「書斎に行くだけだから、付いてこなくて大丈夫です」
「静かに付いて行きますので」
「常に私の傍に居ることが、騎士の仕事ですか?」
ビクリ、とエダンは身体を強張らせると叱られた子供のように困ったように俯きました。
それを見て、自分が悪者になったようだとハリは焦りました。
「すみません、少し変な感じだったので…。今までこのように護衛を付けられたことが無いので、慣れていないんです」
「それなら…」
それなら?
何か案があるのかな、とハリは目を輝かせます。
「これからは慣れてください」
その言葉にガックリと肩を落とすハリでした。
40話感想
皆の幸せが僕にとっての幸せだって…ユージン、家族思い過ぎ…。そりゃ兄さんも幸せになってって言葉出てきますよ。
新キャラ登場ですね!
見た目が、ユージンとヨハンを足して2で割った感じです!繊細系のイケメンですよw
これから彼は、この物語でどう出てくるんですかね。楽しみです!
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