ネタバレ注意です!
あらすじ
7歳の時、母親を亡くし、エルンスト公爵家の養子となった、ハリ。 しかし、公爵家の3兄弟から認めてもらえず、地獄のような日々を送ることとなった。 27歳で縁談が決まり、屋敷を出て行くことに。 ようやくこの地獄のような日々ともお別れかと思いきや、寝て起きてみると、 あの辛い幼少期に時が巻き戻っていた! 「これは夢? フン、そう簡単に覚めない夢なんだったら、今度こそ好き勝手にやらせてもらうわ!」(※ピッコマより抜粋)
登場人物
ハリ | 主人公。本当は27歳だけど、起きたら7歳に戻っていた |
ユージン | エルンスト家長男。冷静で、物事に動じない |
キャメル | エルンスト家次男。剣の天才で、やんちゃな性格 |
エーリッヒ | エルンスト家三男。ハリの事を特に敵視している |
アリナ | ユージン達の実の妹。病気で亡くなった |
ヨハネス・バスティーエ | ハリの未来の旦那様。とても優しい性格 |
ルイーゼ・バスティーエ | ヨハネスの妹。ハリとヨハネスが大好きで、キャメルが苦手 |
34話ネタバレ
「狩りは好きじゃないと聞きましたが?」
「苦手なだけです」
「なるほど。あなたのお父上もあまり射撃は得意ではありませんでしたね」
叔父に狩りに誘われたユージン。
お互い猟銃を背負い、神妙な面持ちで森の中を2人で歩きます。
「数日前に聞きましたが、あなたは叔母に馬鹿げた事を言ったそうですね。叔母がやりすぎたのは事実だが…」
そして足は治ったのか尋ね、本当の事を答えるつもりの無いユージンはまだだと答えます。
「あなたは狩りがあまりお好きじゃないようなのでご存じ無いかもしれませんが、狩りにちょっとした事故はよく起こるんですよ」
「そうなんですね」
「人が獲物と間違えられる事もあるので注意してください」
「それは怖いですね」
「心配しないでください。ここにはあなたと獲物を間違える人なんて居ませんよ」
叔父はふっと笑ってみせまずが、ユージンは猟銃の引き金に指を添えます。
「なら、誤射してもそれは経験者のせいではなく、私のような未熟者のせいですね」
バァン!
森の中を銃声が鳴り響きます。
「うあぁ…!」
撃たれた足を庇う叔父。
「痛いですか?」
ユージンも膝をつき、叔父と視線を合わせて尋ねます。
「前回の借りを返そうと思っただけなのですが、大げさですね」
人を撃ったにも関わらず平然と尋ねるユージン。
叔父は撃たれて血が出る足を抑えたままユージンを睨みつけます。
「叔父さん、僕は狩りが得意じゃありませんが…自分で見た獲物は見失いませんよ」
ユージンは叔父をを真っすぐ見据えて言いました。
そして立ち上がると、叔父を見下して堂々とした口調で言葉を続けます。
「あなたは、皇室の剣であるエルンスト家の歴史が血で汚されると言いましたね。父の血を引き継いだ私はこの家のトップに相応しくないとも」
「ならば試してみましょう。誰が生き残るか、生きて帰れるかを…ね」
不敵な笑みを浮かべるユージン。
報復を戸惑っていた少年は、もうそこには居ませんでした。
―――
――
―
ユージンは叔母や叔父の件から、エルンスト家の大人は信用できないと結論に至りました。
自分自身のを守れる力を身に着けるまで(大人になるまで?)ハリとエーリッヒはバスティーエ家で暮らす事になりました。
エルンスト家を去って6年後、ユージンと最後に会ったのは3年前。
大人になったハリはユージンへ手紙を書き留めます。
「ハリ!」
「ルイーゼ」
ルイーゼが部屋を訪ね、ハリは嬉しそうに振り返ります。
「なかなか来ないから迎えにきちゃった。エーリッヒが待ってるよ!」
ごめんごめん、と言いながら席を立つハリ。
「エーリッヒも私達と一緒に来るんだね」
「そうみたいよ」
そして階下へ降りる2人。
「どうしてこんなに時間がかかったのさ」
と、すっかりと待ちくたびれた様子のエーリッヒ。
可愛らしかったエーリッヒもすっかりと大人になり、クールな男性へと成長していました。
「ごめん、時間を忘れちゃって」
「子供だけで外に出るのだから、気を付けるのよ」
ルイーゼの母は心配そうに言います。
「もう子供じゃないわ、ママ」
反論するルイーゼを微笑ましく笑うハリ。
「心配しないでください。私達がルイーゼの面倒を見ますから」
「ありがとう」
手を振って見送るルイーゼの母を背に、エーリッヒはハリに言います。
「僕はあの子の面倒見るの苦手だから、ハリがやってね」
「何言ってるの。私達は同じ船に乗ってるんだよ?」
こそりと言うハリ。
「ハリ、エーリッヒ!早く!」
ルイーゼに促され、3人は馬車に乗り込みます。
「最初に服を買うでしょ、そしたら靴を見るの!あ、本当に美味しいケーキ屋さんがあるって聞いたわ。寄って行きましょう!」
ケーキを何箱買う等まだまだ続くルイーゼの弾丸のようなおしゃべりに、行く前から疲れた様子のハリとエーリッヒ。
「そんなにたくさんの場所に行くのは大変じゃない?」
「私達はそんなに頻繁に出かけられるわけじゃないんだから、出来る限り多くの場所に行くのよ!」
「そんなに行ったらすぐに疲れそうだから行きたくない」
溜息混ざりに言うエーリッヒに、ルイーゼはハリに抱き着いて言います。
「なら帰ったら?ハリと私だけで行くから良いよ」
「誰がそんなこと言った?ハリは僕と来るんだよ」
「諦めたら?ハリが私を放っとくわけないでしょ」
しょうがないなぁ、とハリは笑います。
「移動を早くすれば大丈夫だよ」
ハリの言葉に嬉しそうな様子のルイーゼ。エーリッヒは不機嫌そうな表情を浮かべます。
町に着くと、馬車から降りようとするハリに手を差し伸べるエーリッヒ。
「降りるときは危ないからね」
「ずいぶんと成長したね」
そう言いながらエーリッヒの手を取り、ハリは馬車から降りました。
「同い年の癖に何言ってんの?」
続いてルイーゼは馬車からぴょん、と跳び降りると行くよ、と2人に声をかけるのでした。
―――
――
―
バスティーエ邸へと帰ると、ハリはルイーゼの両親に今日の出来事を話しました。
3人は和気あいあいとした様子で話すと、ハリが一緒なら安心してルイーゼをアカデミーに通わせることができると、安心したように言いました。
話が終わり、部屋へと戻る途中でエーリッヒが佇んでいました。
「どうしたの?自分の部屋で休んでたんじゃなかったの?」
「好きじゃないんだ」
「何が好きじゃないの?」
「まるでバスティーア家の人間のように扱われるのが」
自分の子供のように扱うのが気にいらない、とむくれるエーリッヒ。
エーリッヒがそうなら、私は義理の娘のように扱っていることになるな、と苦笑いを浮かべるハリ。
「僕はエルンスト家の人間で、バスティーエの子じゃないんだから」
その言葉を聞いたハリは嬉しくなり、エーリッヒの腕に自分の腕を回します。
「…何笑ってんのさ」
「アカデミーに行けばキャベル兄さんに会えるね」
「キャベル兄さんが居るところはいつもうるさいから、好きじゃない」
エーリッヒは後ろ姿だったので照れているかは分かりません。
しかし、ハリの手を振り払う事はありませんでした。
34話感想
大人になるまで?兄弟達は離れて暮らすことになりましたね。
ハリとエーリッヒはバスティーエ家で、キャベルはアカデミーに通っているそうです。当主であるユージンはエルンスト家に残ったんですかね。
大人になったハリ、すっかり美人になりましたね!エーリッヒも生意気な可愛い子供だったのに、すっかりとクールなイケメンに大変身してましたね。ルイーゼも可愛いし。ヨハネスはまだ姿を見せてくれませんね。
載せていませんが、キャベルはヨハネスと共にアカデミーに通っているそうです。殴り合いのケンカをした仲ですが、なんやかんやで仲良くやってるんですよね、たぶん…。
すっかりとハリに心を開いたエーリッヒが尊いです…。あんなに嫌っていたのに、馬車から降りるとききちんとエスコートしてましたよ。
2人とも可愛いなぁ…。
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