ネタバレ注意です!
あらすじ
ある日、目覚めたらお姫様になってしまった…!?皇族に生まれ変わったのはいいけれど、よりによって実父の手で殺められる悲運のお姫様なんて!!血も涙もない冷血な皇帝・クロード。死にたくないなら彼の目に留まってはいけない…なのに!!!「いつからこんな虫けらがいたんだ?」早速、皇帝の目に留まってしまったアタナシア。果して彼女は生き残れるだろうか。「私……どうしよう……!?」(ピッコマより抜粋)
登場人物
アタナシア
この物語の主人公のお姫様です。『かわいらしいお姫さま』の物語上では、サブキャラという設定です。
クロードに殺されないよう頑張ってます。
ルーカス
世界一の魔法使い。アタナシアの命の恩人です。
リリー
アタナシアの世話役。
80話ネタバレ
アタナシアの思い
とある夜―
「パパ寝てたぞ」
「本当に?」
ルーカスの報告に、アタナシアはホッとしました。
最後、出て行けと怒鳴りつけられたアタナシア。
クロードの体調を心配しつつも、自分が行ったらまら追い出されると思い、ルーカスに様子を見に行くよう頼んだのです。
「パパ、また痛がってたから…ありがとう」
「礼を言うまでもない」
「そっか。じゃぁ、もう遅いし。おやすみ」
「おう」
部屋に戻るアタナシア。それを見送るルーカス。
そしてルーカスはアタナシアに話すべきか思い悩みます。
クロードの状態が良くないという事を―。
アタナシアは布団に入ると、思いを巡らせます。
記憶が戻るまで、以前と同じように仲良くできるとは思わなかった。
拒絶された時のクロードが怖かったから…。
ルーカスはの言う通りかもしれない。
―お前のパパは努力家だ。パパの事何だと思ってるんだ。
とにかく生き残り、愛される事だけを目標にして生きてきた。…パパの事を知ろうとも知らず。
パパは生き残るために王位についた。それでも、パパは皇帝としてやるべき事はしっかりとやってる。
貴族には厳しいかもしれないけど、民は賢明な統治者だと認めている。
パパは残酷な人じゃないけど、ルビー宮殿で大量虐殺を犯した…。
でも、パパは私は避けようとはしなかった。
何で?
矛盾しているみたいだけど、何か理由があってそんな事したの?
パパは冷酷な人かもしれないけど、小説に出てくる皇帝とは違う。
思い出すのは、小説の1シーン。
泣きながら膝をつくアタナシア。そんなアタナシアを見下し、『愚か者め』と吐き捨てるクロード。
少なくとも、私の知っているパパじゃない。
パパは、なぜ小説だとあんな風になっちゃったの?
黒魔法のせい?
『お前に会うたびに不快な気分になる』
以前クロードに言われた言葉について、アタナシアは考えを巡らせます。
もしかして…『可愛らしいお姫様』のアタナシアにも同じ事を感じていたの?
小説の中で、ジェニットを傍に置いた理由は、黒魔法の副作用から痛みを和らげるため?
クロードはアタナシアの事を不快に感じたから、アタナシアを憎み始めた…。
だから、クロードはアタナシアの事を躊躇なく処刑できたのかも。
辻褄が合う。
つまり、アタナシアは…嫌われる理由も愛されない理由も知らずに…。
考えに至り、アタナシアの頬を涙が伝わりました。
「どうしてこんなに涙が出るんだろう」
いくら拭いても涙は止まりません。
「胸が痛いのは何で?」
どうしても小説のアタナシアに共感してしまう。
自分が経験したかのように思えて仕方ない。
思考は終わる事なく、眠れぬ夜を過ごすのでした。
アタナシアの仮説
「姫様…。昨夜、何があったのですか?」
アタナシアの腫れた目を見て、リリーは思わず尋ねました。
「怖い夢を見たせいで眠れなかったの」
リリーは近くに居たメイドに冷たいタオルを持ってくるよう指示を出します。
アタナシアは朧げですが、夢を見ました。
苦しそうに屈むクロードをジェニットが介抱する夢です。
一晩中考えた結果、ある仮説が正しいのでは無いか、と思いました。
その夢は、もしかしたらアタナシアが死んだ後の出来事じゃないか、と。
ジェニットは苦しみを和らげる事しかできないから、黒魔法の進行を遅らせる事はできない。
つまり、パパの状態は悪化する。
だから最終的にパパは死ぬ…。
そして気になるのは、夢に現れたもう一人の男性。
苦しそうなクロードと、それを介抱するジェニット。そして―そんな二人を冷酷な笑みで見下す金髪碧眼の男性。
この人は誰?
こんな人、記憶に無い。
まぁ…今重要な事は、パパが記憶を失う前になんで呪いが消えたかを理解することだよね。
小説のアタナシアと私の違いは、パパに出会うのが4年早かったって事。
その4年で変わった?
アタナシアは首を傾げます。
他に影響がある事なんて思いつかないし…。つまり、幼い私に出会った事が、呪いを解くきっかけになったって事?
本当に忘れたいと思った人
「それって、幼い頃の私が可愛くて呪いが降参したってこと?」
キラキラした目で、冗談混じりに自分の仮説をルーカスに報告しました。
「どうしてそうなった?」
「考え事をしているうちに夢中になっちゃって」
アタナシアの泣き腫らした顔を見て『ブサイク』と言うルーカス。
アタナシアはうるさい、と言いつつ顔を背けます。
「そんな事よりも。私の仮説どう思う?」
「頑張ったんじゃないのか。それよりも、お前が見た夢の方が気になるな」
「何か意味がありそうだった?まぁ、ただの夢だったかもしれないけど…」
ルーカスは考えを巡らせます。
強力な魔術師が予知夢を見る事はあるが、死後の出来事を見る事は決してないと聞いた事がある。
―だが、こいつならあり得る。
なぜなら、異世界から転生した人間だから。
「そうだ。パパを治すとき感じたんだが…黒魔法は1つじゃないぞ。2つの魔法が絡み合っている。感情を消す魔法と、記憶を消すための魔法だ。
黒魔法は、力が大きいほどリスクも大きくなる。だから、ほとんどの人間は一つしか使わない。
本当に忘れたいと思っていた人が居るようだな」
「俺は誰の事なのか分かるが…」
ルーカスはちらりとアタナシアに目を配ります。
「その表情を見ると、思い当たる人物が居るようだな」
80話感想
物語の核心に迫った話でしたね!
小説のアタナシアは何で嫌われるか、愛されるかも分からずに殺されてしまった…。可哀そうですね。そんなアタナシアの思いに報いるために、今のアタナシアが奮闘しているようにも見えます。
最後の本当に忘れたかった人ってダイアナの事ですよね。亡くなったダイアナを思うのが辛いから、記憶と感情を消したって事ですか??クロードの場合は辛いんじゃなくて、忌々しく思うとかそんな感じの捉え方になるんでしょうか。
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